今から8年前に築50年の家をリフォームしました。
こちらが築50年のリフォーム前の家です。

世間では空き家の問題も増えていた時だったからでしょうか、リフォームの事をブログに書いたらとてもとても反響がありました。
築50年の家がここまでリフォームできたのかという驚きと、その後に借りてくれた人が衝撃的だったのもあるかもしれません。
8年前に書いたこちらの記事に詳しく書いてあります。
記事を要約すると、私の母が所有していた売るにも売れない貸すにも貸せない築50年の10坪のボロボロの空き家をお金を出し合ってリフォームして、ちょっと洒落た賃貸物件に出来た、と言う話。
私が生まれた時に住んでいた家で、母親にとって思い入れのある物件でした。
賃貸物件にもできて良い人も住んでくれて、10年ちょいほったらかしておけばリフォーム代金もそこそこ回収できて全てがウィンウィンだと思っていました。
しかし少しずつ雲行きが怪しくなってきたのです。
時が経ってみないことにはわからない事というのはたくさんあるものですね。
2年ほど前に売ることになりました。
なぜ売ることにしたのか、トータルの収支はどうなったのか、あの時のリフォームのプランの選択は正しかったのか、古い家をリフォームする時は気をつけた方が良いと思う事。
そんな話をしたいと思います。
なぜ売る事にしたのか
色々あったが簡単に説明すると、リフォームから5年目ぐらい経った頃でしょうか
「床がブヨブヨになってしまっているのですがどうしましょう」
と借りてる人から連絡がありました。
家の前の道は舗装された道路ではなく、土と砂利の道で水捌けもあまりよくありませんでした。

そして気候の変化なのかやたら大雨多い日が続き、酷い時には家の床下に水がたまり湿気で床がブヨブヨと柔らかくなってしまったようです。
借りてくれた人がリフォーム屋さんだったので出来る限りの事はしてくれたものの、それでは追いつかず床の工事や床下の対処が必要になるといわれました。
なるほど、フルリフォームとはいえ床下は土のままだったので、大雨が続き水が溜まるとこの家はこんな事も起こるのですね。過去にそんな事はなかったのでとても想定外でした。
大雨のたびに対処が必要なのではないかと私の頭をなやませます。
それから少し後
「ネズミが出て夜中に天井を走り回るんです」
という連絡がありました。
可愛いマウスなら楽しい話ですが間違いなく可愛くないマウスのお話しです。
ネズミが天井に入り込むというのは屋根に穴があいているのだろうか?近くに飲食店もなく住宅地なのに、どうしてネズミさんはこの家の天井を選んだろうか、今までそんな事なかったので私は不思議でなりません。
借主さんに聞くと「最近この辺り一軒家の取り壊しが多かったらしくて、その中でゴミ屋敷みたいになっていた所もあったので、そこから逃げて来たんじゃないですかねぇ」
と言っていました。そんな事あるんですねぇ。
ネズミさんには家賃払ってもらえませんし共存も難しいので出て行ってもらいます。
とりあえず屋根に入れる点検口を作ってもらい、ネズミ対策をしてもらいました。しかし、ひとつ大きな問題がありました。
いくら探してもネズミが入って来た穴が見つからず、フンはあるのに姿が無いのです。
私も家まで行き天井裏を見たが入れそうな所はありません。何度見ても無い。おそらく異世界転生でもして来たのでしょう。
ネズミ対策をした事で一応は出なくなったのですが、また戻ってこないとも限らないので私の頭を悩ませます。
賃貸物件は何か不具合ある度に大家の負担になります。新築ではないので思った以上に細かい不具合が出てきました。
私の母親の物件ですが高齢だったので私が代わりに対応していました。
1時間以上かけてその家まで行かないといけないのでその度に憂鬱だったのをよく覚えております。知ってる人に貸すからと思い、不動産屋さんに管理をお願いしなかったのが裏目に出たのかもしれません。
色々と対応した話を母に報告していたら
「売った方がいいのかしらねぇ」
と言う様になりました。
父親が初めて買ってくれた家でとても思い入れがあると言っていたので私はとても驚きです。大胆なリフォームして思い入れが薄まったのでしょうか。
理由を聞くと
「リフォーム屋さんが住んでくれてるのに次から次へと問題出てくるとこの先どうなるか心配だわ、売れるなら売りたい」
みたいな感じでした。
いやいやいやいや、母の言いたい事もわからなくはないけれど、リフォーム屋さんもボランティアではないですからねぇ、と思いながらも確かにこのままでは売ってしまった方がよいと思う事はいくつかありました。
私が思うに、リフォームには1000万ぐらいかかっているのでもし賃貸でトントンにしようと思ったらまだここから8年ぐらいかかりそうで、しかしそれは大きな工事がないと仮定した場合で、少し大きめの工事やリフォームをしたら回収は更に伸びてしまいます。
もともとは利益を考えないリフォームプランだった気がするのですが、何かある度に私が確認に行くのはとても楽しくないのです。本音としてはとても面倒なのです。
さらに、家の目の前の道はアスファルトに舗装されていない砂利道で都市ガスも通ってなくプロパンガス。例えば、水捌けを良くするためにアスファルトにしましょうとか何かをしようとすると道に隣接するの近隣の住人たちの許可と誰が費用を出すかで大変になる可能性が高いという厄介な問題もありました。
そしてこの物件は埼玉県の「川口市」にありまして、駅からも遠いし、これから近い未来に土地開発などで発展しそうな雰囲気もなく地価があがる気配もなく、外国人も増えてきたのでどうなるか予想がつかない面もありました。
これらの事を踏まえると、売ろう思ってるなら是非是非そうしていただきたいと思い、私は母の背中を強く押すことにしました。
そして物件を売る事に。
売ると決まったら早いものでした。
借りてくれていたリフォーム屋さんに売りに出す話をしたら、すぐに引越しをしてくれる事になりました。ありがたい事にとても綺麗に使ってくれていたのと直すべきところは直してくれたのですぐに査定してもらうことができました。
売るに売れなかった家がリフォームしたら売れる様になったのは嬉しい事です。
一般個人に売買か不動産業者に売買かどちらにするかという選択がありましたが最終的に業者にしました。
理由は業者だと契約不適合責任を免除という条件があると聞いたので。
契約不適合責任とは、品質に関して契約内容に適合しない場合、売主が一定期間内に負わなければならない責任。
たとえば、買主が一般個人の場合、売買契約書に記載されていないシロアリの被害や給排水管の故障などが見つかれば、売主は修理に応じなければなりません。しかし、買主が不動産買取業者の場合、売却後の契約不適合責任を免除する契約条件であることが多いそうです。
売れなくて長く時間がかかるとどんな不具合が出てくるかもわからないので業者にしました。
一般で出す予定だった金額よりはまあまあ低かったですが、トータルでマイナスにならないなら、母はすぐに売るという決断をしました。
トータルで収支はどうなるのか?
物凄くざっくりトータルの収支を計算してみましょう。(細かい金額は伏せます)
6年ぐらいの家賃収入と物件を売却の金額
これに対して
リフォームにかかったお金、物件の修繕やネズミ対策でかかったお金、諸々の経費、売買にかかる手数料、売った税金、固定資産税などを引くと
100万ちょっとしか残らない計算になりましたが、売ることに。
とても微妙です。もっと上手いやり方はあったかもしれません。
母は資産整理もできたしマイナスにならなくてよかったと言っていましたが、本音はどうだったのでしょうか。思い出の家を手放し100万ちょいしか手元に残らなかったのは少し切ない様におもうのです。
しかし、このまま賃貸で持っていて更なるリフォームや修繕がかかるかもしれないリスクを考えると、この決断は悪くなかったと私は考えます。
別な視点でみると結果的にとてもラッキーだった事も。
私はこのリフォームの事をブログに書いたら、ブログがバズって嬉しい事になりました。1日のPV数ってやつが何十万アクセスにもなり、そこに広告を貼り付けたら収益がでて、ブログがバズった事で出版の話がきたのでブログ本を出し、さらに、取材やトークイベントなど、色んな副収入がありました。
運がメチャクチャよかっただけとは思いますが、私的には手間賃としてとても良い形になったので母には感謝しかありません。
面倒だった思い出というのはお金で簡単にひっくり返るものですね。
とても勉強になりました。
トータルで考えるとそれなりにプラスだったのではないでしょうか。(後に実家のリフォームに全て使いました)
当時のブログにはまだ勢いがありましたね。今だったらYouTubeやらTikTokとかで同じように収益が出せたでしょうか。
もし今同じ状況だったら、私はおそらくYouTubeでプロの監修をお願いしてDIYを始めてみて再生回数を稼ぐ事を考えるでしょう。うまくいくかは分かりませんが。
なんだかこれで話が終わると私の自慢話みたいになってしまいそうなので、私の思う「あの時こうしてたら良かった」話をしたいと思います。
まず
あの時のリフォームプランは正解だったのだろうか?
あの時リフォーム屋さんが提案してくれたプランは3つ。
パターン①
家の中の床、壁、キッチン、お風呂、トイレなどを全て新しいモノに取り替え、屋根は雨漏りを直して、外壁は塗装をする。賃貸に出せるであろうとにかく価格を抑えた最低限のリフォーム。
600万〜700万(税別)
パターン②
①同様に中は全て新しくして、トイレ、キッチンの場所など間取りを広く取って現代風にチェンジ。
屋根も取り替え、外壁もトタンをはがして「サイディング」を貼り、外も中もほぼほぼ新築にするフルリフォーム
900万〜(税別)
パターン③
リフォーム屋さん自ら「自分が住んでみたいと思える家」という面白い提案。②同様フルリフォームに加え、一階部分を半分ガレージにして、バイクなど趣味に勤しめるスペースを設け、リビングからそれを眺める事が出来るようにする。
1000万〜(税別)
どれも良いプランでした。今は資材が高騰してるのでこの金額が少し安く見えます。
しかし
今の私なら①か②番のプランを選ぶでしょう。
本音を言いますと、リフォームが完成した時は「凄えお洒落ぇぇ」と、とても感動したものですが、不具合で何度か足を運び見ていたら「車庫でもないガレージはなくても良かったんじゃないか」と思うようになりました。
オシャレで変わった仕様は綺麗な時は良いけれど、時間が経って古くなったり不具合が出てくると、良く思えなくなってきてしまったのが正直なところです。
物凄い大雨が続くと、ガレージにした事により他の部分の水捌けが悪い形になってしまっている様でしたので、ガレージにせず、普通の間取りにして床下にお金をかけた方が良かったなぁと。
当時は大雨が続いて大変になるなんて事は想像できませんから、いまとなっては完全にたらればです。
リフォーム屋さんが住んでくれて対処してくれたら助かりましたが、他の人が借りていたと思うとどうなったか想像つきません。
とはいえ、変わった仕様のプランにしたからブログがバズって副収入になったという事もあると思うので何が正解だったのかはわかりません。
リフォーム屋さんはとてもよい仕事をしてくれたと思っておりますし、プランを選んだのはこちらなのでこの結果はしっかりと受け止めたいところです。
今後もし築年数が古い戸建をリフォームするなら、床下や屋根に不具合がある事を見越して、点検口をつけることはした方が良いと思いました。
こういうやつです。

普通に業者に頼むと素材や場所によっては7万前後の見積もりが来たりしますから、屋根や床下の点検しやすい所にリフォームの時に付けておいた方が良いだろうと思いました。
あとは、水捌けや風通しが悪そうな場所は大雨が来る事を想定して湿気などの床下の対策を考えておいた方が良いだろうと。
最近の大雨でとんでもない水量になる事もありますからね。
ちなみに余談ですが先日、ウチの実家が大雨で一階が水没しました。
この二つぐらいでしょうか。
最後に、この築50年の家のリフォームを振り返ると
始めは夢があったしワクワクした。時間が経って雲行きが怪しくなったが、結果としては古い家のリフォームに関して色んな事がわかったしトータル収益もプラスになった。
こういうのを人間万事塞翁が馬というのでしょうか。
という事でとても色々ありましたが良い形で終えたと思っております。
おわり。