かあいがもん「お父さんの日記」

早いもので長男は29歳、次男は21歳になりました。

賃貸マンションで本当にあった少し怖い騒音問題の話

暑い日が続いているので、私が体験したほんの少し怖い話をさせてもらいたい。

 

数年前、私は自分の会社の事務所と仕事部屋として自宅近くにマンションの一室を借りた

 

住宅地の中にある築50年の4階建てマンションで外観はかなり古いのだが中はリフォームされていて比較的綺麗な日当たりの良いワンルームマンション。

 

鉄筋のコンクリートマンションなので壁が厚いのかと思いきや、隣の人の会話やTVの音がまあまあ聞こえる。

 

別に聞こうと思った訳ではないが、左隣の部屋はカップルが住んでいて夕飯前になるとテレビを見ながらの仲良しな会話が始まり、右隣は男性が1人で住んでいるのであろう、休日の昼間はアダルトビデオの「女教師モノ」だとわかる音が聞こえてきた。

 

顔を付き合わせた事はないが、耳をすませば隣人がどんな生活をしているかわかるぐらいの情報が入ってくる壁の薄さだった。

 

事故物件でもないのに賃料が比較的安かった理由はこれだったのかもしれない。

 

借りて数ヶ月経った頃、1通の手紙がドアのポストに入っていた。

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(ドアの写真はイメージです)

読んでみたら管理会社からの「騒音軽減へのご協力について」の手紙の様だった。

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事務所と仕事部屋と言っても人が来る事は殆ど無いし、パソコン作業するぐらいで私の部屋は騒音とは皆無だし「身に覚えがない」のでそのままゴミ箱に捨てた。

 

それからまた1か月経った頃だろうか、同じ手紙がドアのポストに入っていた。

 

はて、この壁の薄いマンションにいて騒音というぐらいの音が聞こえた事は無いのだが一体どういう事だろう。

 

再三の苦情が出てるという事なので、もう一度文面をしっかり読んでみた。

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すると、私の中で「身に覚えがある事」があった。

 

「掃除機やローラー音などの振動音は隣戸へ伝わりやすい構造になっております。昼間でもお休みの方もいらっしゃるので」

 

と。

 

私は頻繁に掃除機をかけて、ラグマットにコロコロをする。そしてそれは昼間に。

 

これは困った。に掃除機は騒音になると思ったが、昼間の掃除機とコロコロが騒音になって隣人に大変な迷惑をかけている可能性があるとは思わなかった。

 

私はそれから掃除機をやめてフローリングモップにして、ラグマットのコロコロはなるべく静かにやるようにした。もともとそんなに激しくコロコロしてはいないが。

 

仮に私の部屋の騒音が原因だったとして、これでもまだ苦情が来るならもうどうしようもない。それでも騒音が気になるならマンションの構造の問題だろうし、もしくは苦情を出してる人の聴力が超人だ。そう思い手紙をゴミ箱に捨てた

 

それからしばらくは手紙がポストに入る事はなかったのだが、数ヶ月経ってまた同じ手紙がポストに入っていた。

 

これは私の部屋ではなく他の部屋の人の騒音じゃないのだろうか?夜は殆ど自宅に戻るから夜の騒音はありえないし、むしろ近くを走る電車の音の方が気になるだろ。そう思いながらもう一度手紙を隅々まで読み返してみた。

 

ある部分に気が付いた瞬間、私は少し困惑した。

 

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303号室入居者様と書いてある。

 

これは少し変だ。管理会社はプリントアウトするのに一枚一枚部屋の号室を打ち直してプリントアウトするのだろうか。むしろ部屋の号室は要らないと思う。普通は「入居者様」だけでよいはずだ。それをわざわざ私の部屋の号室を入れてプリントアウトするという事は苦情は私の部屋に向けられている可能性がとても高い。なんなら狙い撃ちだ。

 

掃除機からモップにしたのにまだ騒音が気になるというのか?もしや私の歩く音がうるさいのか?私が扁平足だからか?もう訳がわからなかったので私は少し憤慨しながら管理会社に電話する事にした。

 

 

「そちらの管理会社で管理されている賃貸物件に入居している者ですが、マンション内で騒音の苦情が再三出ているという手紙が来まして、どういった苦情か詳しくお聞きしたいのですが」

 

と、私が管理会社に伝えると物件名と号室を確認してから「少々お待ち下さい」と言われた。

 

しばらくして、管理会社の人が申し訳なさそうな声で

 

「調べてみたのですがこちらには一度も苦情の連絡を頂いた事は無いようなのですが、、、」

 

と言われた。

 

は?管理会社に苦情が来た事は無い?ではあの手紙はなんなのだ?と思い

 

「そちらの管理会社の名前が書いてある手紙がポストに入っていたのですが」

 

と、聞くと管理会社の人に

 

「その手紙をパソコンに送って頂いてもよろしいでしょうか、確認して折り返します」

 

と、言われた。

 

私はすぐに携帯で写真を撮って管理会社に送り、折り返しの電話を待った。

 

これはヤバいかもしれない。私はその時に直感的にそう思った。もしこれが管理会社からの手紙でなければ誰がわざわざあれだけの文面を作って管理会社のフリして私のドアのポストに入れているのだ?

 

本当に騒音の苦情であれば、文面を考えてパソコンで打つより管理会社に直接苦情の連絡するのが普通だ。しかし管理会社には一度も連絡せずあえて管理会社の名前を使って手紙を作り何度も苦情を伝えようとする人の行動は理解し難い。ある日その人がドアの前に立っていて「お前の部屋の騒音がうるせえんだよ」と言われてトラブルになる可能性も否めない。

 

しばらくして管理会社から折り返しの連絡があった。

 

「あの手紙は弊社が作ったものではありません」

 

と。

 

一体どうすればいいのだ?と聞いても管理会社としては実際に苦情が出ている訳ではないので対処のしようがないと困っている様だった。

 

それからずっと、私はモヤモヤしていた。

 

いったい誰が手紙を入れているのだろうか?本当に私の部屋の騒音なのだろうか?もしかして私に対して個人的な恨みが何かがあるのだろうか?いくら考えても微塵も思い当たらなかった。

 

それから数日後、私はいつもの様に部屋でパソコン作業をしていたら私の部屋の前に人が立ち止まる足音がした。

 

宅急便だと思い玄関の方へ行こうとするとドアのポストに手紙が放り込まれた。マンションの入り口にもポストはあるのでドアのポストに入る手紙は殆どない。

 

 

私はすぐに思った。あの手紙だと。

 

手紙を入れたと同時に足早に廊下を去る足音がきこえた。

 

怖かったが誰が手紙を入れたのか知りたい欲求が勝ち、私は玄関に行き静かにドアを開けた。

 

廊下に人は見当たらなかったが階段を降りていく音が聞こえた。

 

私が急いで階段の所まで行くと足音はなくなった。

 

私の部屋は3階だ。3階の廊下からはマンションの外に出て行く人はよく見える。しかしマンションの外に出ていく人は誰もいなかった。私が廊下に出て階段に行くまでの間に、3階から1階まで階段を降りて行く人もマンションの外に出て行く人も見えなかったという事は、いま手紙を入れた人は私の部屋の下の階の住人の可能性が高い。

 

色々と考えながら自分の部屋に戻りポストを確認したらやはりあの手紙だった。

 

なんとも言えない気分だった。マンションに住んでいて隣人の騒音に悩まされる事はあっても「あなたの部屋の騒音をなんとかしろ」という手紙に悩まされるなんて。

 

菓子折りの一つでも持って挨拶に行こうかと考えた。

 

「上の部屋に住む者です。すいません、もし間違っていたら本当にすいません。私の部屋から騒音が出ているのではないかと思い伺ってみました。私としては心当たりないのですが私の部屋に騒音の苦情の手紙がはいっておりまして、もし騒音でご迷惑などをおかけしているのであればご指摘頂き、どの様に改善ができるかご相談とご挨拶を兼ねて伺いました、よろしけれはつまらない物ですが、こちらを」

 

と。しかしそれはやめる事にした。やはり管理会社の名前を使って何度手紙を入れてくる様な人は危険かもしれない。仮にその人だったとしてもお互いに顔を突き合わせる事で状態が悪化する可能性も否めない。もしその人に妄想癖があって「ちょっと待ってくださいね」と言って包丁とか持って出てきたら嫌だ。

 

警察と弁護士に相談に行きつつ

 

「管理会社の名前を使って住民のポストに手紙を入れている方がおります。これは違法行為に当たる可能性がありますので実際に騒音で被害を被っている場合は管理会社に相談して下さい。警察にも相談しておりますので、今後同じ様な事がありましたら法的に基づいて対処していきます。身に覚えのある方はご注意願います」

 

という感じの文面を管理会社に頼んで出してもらうなどすれば手紙は無くなるかもしれないと思った。が、相手と最後まで戦う気がないなら刺激するだけに終わってしまいそうなのでやめた。

 

 

色々と考えたが怖いので

 

よし、引っ越そう。

 

という決断に至った。

 

幸いな事に賃貸だし、引っ越し出来るお金はあったので良かったと思う。仮にお金が無かったとしても私は心身共に健康を選ぶと思うが。

 

 

 

私はすぐに管理会社に電話して退去する旨を伝えたらバツが悪そうに1か月後までの退去をお願いされた。

 

荷物を自宅に引っ越しする為に業者に連絡をしたら2週間後になったので部屋掃除をする事にした。

 

一度もキッチンを使うことがなかったが、一応キッチンも拭き掃除しておこうと思いキッチンの下の棚を開けたらあの手紙が出てきた。

 

もしかして家の中に入って手紙を置いたのか?

 

と、一瞬思ったがよくよく見たら手紙は少し古いものだった。もう手紙に恐怖すら感じた。

 

マンションに関する書類も一緒にあったので恐らくずっと前から置いてあった可能性が高い。しかし、いつからあったのだろう。

 

前にここに住んでいた住民も苦情の手紙を受け取っていたのだろうか。私の様にこの手紙に悩まされていたのだろうか。色々とは深まるばかりだった。

 

そして、引っ越しの日

 

引っ越しは午前中に行なった。

それほど荷物はなかったので、細かな物は自分で階段を行き来して業者のトラックに積みこんだ。

 

その最中、マンションに帰ってきた一人の若者と階段ですれ違った。私が「おはようございます」と挨拶をしても聞こえない様で、その若者は振り返る事もなくそのまま自分の部屋に入って行った。

 

その部屋は私の真下の部屋だった。

 

 

トラックに荷物を積み終わり、私が借りていた部屋の下の部屋の窓をみたらカーテンの隙間に誰かが立ってこちらを見てる様だった。

 

私が会釈をしたら立っている人影は消えた。

 

私は微妙に視力が悪いのでその人が私を見ていたのかは定かではない。

 

「昼間でもお休みの方もいらっしゃるので」

 

私の頭にあの手紙に書いてあった言葉が浮かんだ。午前中にマンションに戻ってきて私の部屋の真下に住んでる住人。手紙を入れた可能性一番高いと私は疑っている。

 

仮にその人だったとして、引っ越しをして出て行く私を見て何を思うのだろうか。

 

本当に私の部屋の騒音に迷惑を被っていたのだろうか、それとも何かの憂さ晴らしだったのだろうか。

 

私の何一つ謎は解ける事もなくこの件は幕を閉じた。

 

もし本当に私の騒音だったら申し訳ない。

 

賃貸マンションの隣人はどんな人が来るかわからないが、それにしても私は珍しい事を引き当てるの多い。悪い一番は隣で殺人事件だったし、良い一番は隣人がとんでもないお金持ちで「ボクシングを観に行こう」と誘われて一緒に行ったら後楽園ではなくラスベガスだったりとか。

 

ラスベガスの話はこちらに書きました。